行けない日々に、「なぜ?」の答えが見つからなかった中学1年生の夏。毎日部活に塾にとハードな日々を送っていた彼は、ある日突然学校に行けなくなってしまいました。理由は自分でもわかりませんでしたが、精神的、肉体的にがたが来てしまったと感じました。その後、家で過ごす日々が続きました。その時は、保護者の方が見つけてくれた地域のフリースクールに3日に1回ほどのペースで通っていました。フリースクールは、定年退職した元先生たちが中心となり、子どもたちに授業や体験を提供してくれる場所でした。決まった時間割があるわけではなく、自分の調子に合わせて通うことができます。午前だけの日もあれば、午後だけの日もある。週に1回でも、行かない週があってもokな場所でした。学校にいけないのはなぜなのか。精神科や小児科に行った末、「起立性調節障害(OD)」という病名に出会ったことが、彼にとって大きな転機になりました。朝、脳にうまく血液が回らず、起き上がることができない──。それが、長らく誰にも説明できなかった「行けない理由」の正体でした。通信制高校という選択肢──「八洲学園」との出会い起立性調節障害を発症したことが分かり、全日制高校に通うことは難しそうだとわかりました。そんな自分にも合う学校を考えた末に見つけたのが通信制高校。数ある通信制高校の中から自分にあう高校をさがすため、保護者と一緒に「通信制高校合同説明会」に参加することに。数ある学校の中から、実際に足を運んだのは3校。・長尾谷高校:先生たちの印象から楽しそうな雰囲気を感じ取れなかった・KTCおおぞら学園:塾っぽい雰囲気で、もっと“学校らしい雰囲気”を探したくなった・八洲学園高校(堺本校):オープンキャンパスで、先生がグータッチをしてくれた姿が印象的で、「生徒と先生の距離が近い」と感じた。文化祭、体育祭、修学旅行、マラソン大会などの行事やイベントが沢山あって全日制と大差ない学校だった。彼が最終的に選んだのは、八洲学園高校でした。ベーシッククラスからのスタート、でも通えなかった現実入学当初は、週5日登校の「ベーシッククラス」を選択。9時からの授業が基本で、全日制とほとんど変わらない時間割です。彼がオンライン型ではなく通学することを選んだのは、起立性調節障害が深刻で治療も兼ねて、学校に行くことを目標に頑張るためでした。「やっぱり、最初は全然通えませんでした。気持ちはあるのに、身体がついてこなくて」学校に行こうと意気込んだものの、実際は週に1〜2日行けるかどうかのペースでした。2年生になるタイミングで、週3日・午後からの「マイスタイルクラス」へ転籍。13:40スタートのゆるやかな登校時間が、生活リズムを整える助けになりました。「朝起きられない自分を責めずに済む。毎日通うのは無理でも、週3なら行ける、って思えました。」行事に出て、誰かと関わることで「自己肯定感」が少しずつ戻ってきた八洲学園高校の授業は、一般的な全日制高校のように先生が前に登壇してみんなで聞くというスタイルです。映像授業はなく、レポートを提出すると卒業ができました。授業に全て出席しなくても単位取得ができ、自分のペースで授業を受けられるところも魅力的でした。しかし、勉強のペースが遅く、簡単(中学生レベル)で1回完結型の授業なので数回休んだりすると授業内容をずっと覚えることが難しく、習慣的に勉強する癖がつかなかったといいます。また、大学受験をしようと思うと、学校の学習だけでは不十分だと感じました。学校の先生は、単位取得のために声掛けをして注意喚起をしてくれたそうです。しかし、発達障害や休みに対してあまり理解のない先生が在籍していたり、授業態度が悪い生徒に対してあまり咎めない先生もいました。先生の入れ替わりが激しく、新入生も年度によってタイプが変わり、楽しい年と楽しくない年がかなり別れると感じたそうです。八洲学園高校は、通信制でありながら行事がとても充実しています。しかもすべてが“任意参加”。無理のない範囲で、文化祭や体育祭、校外学習、修学旅行(1泊2日)などに参加できました。文化祭では生徒一人1人に役割を与え、成長を促すきっかけになっていました。大学進学を決意──塾との両立と“学び直し”の時間大学への進学を目指し始めたのは、高校2年の終わりごろ。総合型入試で受験することを決め、国語、数学、英語が受験科目でした。通信制高校の授業だけでは、受験には十分とは言えず、個別指導塾に通うようになります。週に4日、マンツーマンの指導で、英語は中学1年レベルからの学び直し。「塾はマンツーマンで“他の人と比べなくていい”環境だったのが救いでした。」塾だけでなく、八洲学園でも面接練習を何回も行ったり、担任の先生が数学の専門だったので授業外で数学を教わったりといった進路サポートがありました。その結果、見事に第一志望だった桃山学院大学・社会学部に合格。現在は大学1年生として、日々講義に出て、友人とも交流を深めています。大学生活と、通信制高校との「違い」大学に入って感じたことは、「通信制高校よりも自由度が高い反面、自己管理が求められる」という点。朝が早い1限、2限はしんどいけれども行けているそうです。通信制高校は行かなくてもレポートさえ提出すれば卒業できましたが、大学は行かないと単位が取れないのでなんとかいっているとのことでした。通信制高校を検討している方・保護者の方へ彼に、同じように通信制高校を迷っている方へのメッセージを伺いました。「“通信制を選ぶ”っていう時点で、もう前向きな選択です。自分がそういうスタイルに合うかは人次第です。自分にとっては“行事が充実しているか”がすごく大事なポイントでした。行ける日が少なくても、居場所だと思える学校を選んでほしいです」まとめ──「逃げ」じゃなく、「合う場所を探す」こと通信制高校を選ぶことは、決して「逃げ」ではありません。むしろ、自分に合った学び方を探し、進んでいく「前向きな選択」です。行けない理由を理解し、自分のリズムで少しずつ学校に通えるようになる。その積み重ねの中で、受験に挑戦し、大学生としての今がある──。彼の経験は、同じように悩む中学生・高校生、そして保護者の背中をそっと押してくれるはずです。