高校生活と聞くと、多くの人が「毎日通学してクラスで授業を受ける」という姿を思い浮かべるのではないでしょうか。けれども体調や環境によって、全日制高校に通うことが難しい生徒もいます。今回ご紹介するのは、起立性調節障害を発症し、全日制から通信制高校へと進学した一人の生徒の体験談です。通信制高校を選んだ理由や学びのスタイル、卒業までの道のり、そしてその後の進路について、本人の歩みをたどっていきます。入学のきっかけは体調不良と学費の安さ彼はもともと私立の全日制高校に入学しました。しかし、高校生活が始まって間もなく体調を崩し、起立性調節障害を発症しました。朝起きることができず、強い倦怠感や頭痛に悩まされ、学校に通うこと自体が負担になっていきました。最初のうちは「なんとかやり過ごせるだろう」と無理をして通っていたそうですが、症状は悪化するばかりで、結局は休学を選ばざるを得ませんでした。しかし、休学をしてもすぐに体調が戻ることはありませんでした。2学期を迎えても改善の兆しが見えず、このままでは卒業すら危うい状況でした。そこで彼は思い切って通信制高校への編入を決断します。通信制を選んだ理由には、経済的な要素も大きく関係していました。「一切家から出ない生活はかえって不健康だと感じていました。週に1回でも登校して、生活に目標を持つことが大事だと思ったんです。それに学費がとても安かったので、経済的な負担を考えても現実的な選択でした」両親や先生もこの決断を理解してくれ、背中を押してくれました。こうして2018年4月、彼は操山高校通信制課程に入学します。通信制高校での授業とスクーリング操山高校通信制課程の学びは、大学のような単位制でした。クラス制はなく、自分で履修する科目を選び、その授業に出席する仕組みです。授業はスクーリングとして日曜日に行われ、1科目につき15回の授業のうち10回出席すれば単位が認定されました。「大学の講義に近い雰囲気で、終わればそれぞれ帰るスタイルでした。仲の良い人同士で固まることもありましたが、一人で参加する人も多く、自由度が高い印象でした」一方で、授業は規定回数出席しないと単位が取得できないため、体調不良で欠席すると負担が大きくなることもありました。月曜日の午後に振替授業が行われることもあり、体調や生活リズムに合わせて調整できたのは助けになったそうです。レポート・テスト・行事の工夫レポート学習の大変さ通信制高校といえばレポート課題がつきものです。彼の場合、毎週2ページ程度のレポートを提出しなければなりませんでした。「4年間で卒業を目指したので余裕はありましたが、それでも難しい内容も多く、提出を続けるのは大変でした。もし3年間で卒業を目指していたら、かなり負担が大きかったと思います」レポートは自宅学習の中心となるため、学習習慣を整えることが必要でした。レポートがわからない場合は、先生に直接話を聞いて教えてもらうことがあったそうです。しかし先生は毎回学校にいるわけではなかったため、わからない箇所の相談ができず、単位の取得が難しく感じたと話してくれました。しかしご友人のお話では先生によっては電話、ビデオ通話などで質問に答えてもらうこともできたそうです。テストと授業のスピード年に2回のテストもありましたが、内容自体はそこまで難しくはなかったそうです。ただしスクーリングの回数が限られている分、授業の進み方は早く、特に数学などは出席を逃すとついていけないこともあったといいます。行事への参加文化祭や球技大会といった行事がありました。文化祭では生徒の作品展示が行われ、地域の方々の作品が並ぶこともありました。行事は任意参加でしたが、出席すると単位に反映される仕組みだったため、積極的に参加する生徒も多かったそうです。岡山操山高校は人数も多く、卒業式の時は体育館が生徒で埋まるほど多くいたそうです。卒業後の進路と振り返り高校生活の前半は体調が安定せず、単位を多く取れない時期もありました。しかし、通信制高校のスタイルのおかげで時間に余裕ができたため、生活リズムを整えることができて徐々に体調も回復していきました。高校卒業後の進路を決めたのは、進学直前の時期だったといいます。選んだのは地元の情報系の短大でした。短大進学後はアルバイトもできるようになり、体調面でも以前より大きな成長を感じたそうです。振り返ってみて、彼は通信制高校という選択を「正しかった」と感じています。「時間をかけて体調を整えられましたし、高校を卒業して短大にも進めました。学費の安さも含めて、通信制高校を選んで本当に良かったです」まとめ今回の体験談からわかるのは、通信制高校は「やむを得ない選択肢」ではなく「新しい学びのスタイル」であるということです。もちろん、レポート提出やスクーリングの出席など、自分で管理する力は必要になります。しかし、それを乗り越えた先には、自分らしいペースで学びを続けられる環境が広がっています。彼の歩んだ道のりは、同じように体調や環境で悩んでいる人にとって、大きな励みになるのではないでしょうか。