教室にいることがつらくなってしまった高校1年生の冬。駿台甲府高校通信制課程・大宮学習センターに転校した彼女は、焦りと不安のなかで新しい学びの形を見つけ、「自分のペースで学ぶ」ことの大切さを実感していきました。通えなくなっても「学びたい」という気持ちは消えなかった高校1年生の秋、彼女は突然、教室にいることがつらくなってしまいました。授業中にパニック症状を起こしてしまうことがあり、登校するたびに体が重く感じるようになっていきました。それでも、「高校卒業の資格がほしい」「勉強は続けたい」という思いは強く残っていました。学校に行けなくても、学びたい気持ちはなくならなかったのです。学校に行けなくなったのは9月。早く進路を決めたいという焦りから、10月には通信制高校を探し始めました。N高や他の通信制高校も検討しましたが、最終的に選んだのは駿台甲府高等学校 通信制課程・大宮学習センター。決め手は、「駿台予備校のバックアップがあること」でした。大学進学を見据えており、受験対策にも力を入れたいという希望に合っていたのです。「通信制高校でも、ちゃんと勉強できるところがいい」と思っていた彼女にとって、駿台の環境は理想的でした。初めての通信制生活――不安と焦りのなかでスタート入学は高校1年生の11月。不登校からわずか2か月後でした。「早く転校しないと単位が危ない」と感じ、焦りながらのスタートでしたが、同時に「本当に通えるのか」「また行けなくなったらどうしよう」という不安も抱えていました。通信制といっても、駿台甲府高校の大宮センターでは月2〜3回のスクーリングがありました。授業は対面形式で、授業が大宮センターでは開校されておらず他のスクーリング会場に通うことも。1年目は単位を詰めて取る必要があったため、勉強漬けの毎日でした。レポートは紙で提出し、量は多くなかったものの、こつこつ取り組む必要がありました。テストは中間・期末の年6回。特に数学に苦手意識があり、試験勉強にはかなり苦労したそうです。それでも、「しっかり勉強すれば取れる」と感じ、真面目に取り組む姿勢を崩しませんでした。学校全体の人数は全学年合わせて50〜100人ほど。少人数のため、先生との距離が近く、担任の先生とはLINEでやり取りするほどでした。自習室に通ううちに、自然と友人もできていきました。「最初は緊張したけど、みんな優しかったです。先生たちも穏やかで、居心地がよかったです」と振り返ります。また、駿台甲府高校では学習以外の行事もありました。彼女はお台場への遠足に参加し、「体育の授業」という名目でクラスメイトたちとレインボーブリッジを散策しました。パニック発作との向き合いと、先生たちのサポート通信制に転校したあとも、体調が安定しない時期がありました。登校しようとしても、パニック症状が出てしまうことも。そんなとき、支えになったのは先生たちの柔軟な対応でした。「コロナ禍で授業がオンラインになったとき、テストだけは登校する必要がありました。でも“人が多い教室に入るのが怖い”と相談したら、別の教室で受けさせてもらえたんです。」駿台甲府高校には専任のカウンセラーは配置されていませんでしたが、先生たちは生徒一人ひとりの状況をよく理解しており、無理なく通える環境づくりに力を入れていました。勉強面では、わからないところをすぐに聞ける環境が整っていました。自習室ではアルバイトの大学生が学習サポートをしてくれて、彼女にとってはその存在も大きかったそうです。「自習室は広い教室と個室があって、集中できる空間でした。質問にも丁寧に答えてくれて、自分のペースで勉強できました。」将来への不安と進路選択高校2年の夏。彼女は「高校を卒業したらどうしよう」と強く悩みました。「とにかく“通う”のがつらかった。毎日学校に行くのは難しい。でも、進学はしたい。」そう考えていたとき、通信制大学に出会いました。もともと看護師を目指していましたが、心と体のつながりに関心を持つようになり、通信制大学の心理学部への進学を決意しました。通信制高校での経験が、進学先を考えるうえでの大きな転機になりました。駿台甲府高校には大学進学を目指す生徒が多く、進学相談にも親身に対応してくれる環境がありました。家族との葛藤、そして理解転校を決めたとき、父親は反対していました。「通信制なんて行って大丈夫なのか」「ちゃんと卒業できるのか」と不安だったのでしょう。しかし、全日制高校の時の先生が何度も面談を重ねてくれて、最終的には理解を得ることができました。学校側が家庭と連携して支えてくれたことが、彼女にとって大きな安心につながりました。通信制高校で得た「自分のペースで生きる力」現在、彼女は通信制大学に通っています。高校のときよりも通学の機会は減り、スクーリングやテストもすべてオンラインで行われています。「正直、高校のときのほうが通ってたかもしれません」と笑います。それでも、駿台甲府高校での3年間が、今の彼女の基礎を作りました。「通信制高校しか選択肢がなかったけど、行ってよかったと思います。 焦らなくても、自分のペースで前に進めばいいんだってわかりました。」最後に、今悩んでいる後輩たちへのメッセージを尋ねると、彼女はこう語りました。「今はつらいかもしれないけど、転校したら将来は明るいと思うので頑張っていきましょう」と笑顔を交えながら話してくれました。おわりに駿台甲府高校・大宮学習センターで過ごした3年間は、彼女にとって「心のリハビリ」ともいえる時間でした。教室に戻ることが難しくなっても、学びを続ける道は必ずあります。通信制高校は、ただ“卒業資格を取るための場”ではなく、「もう一度、自分を立て直す場所」でもあるのです。