通信制高校に対して、どこか消極的なイメージを持っている人も少なくないかもしれません。ですが、実際には、通信制だからこそ実現できる学びや生活があります。今回は、N中等部からN高等学校ネットコースへと進学し、自分らしく学び、成長した一人の生徒とそのお母さまの視点を通じて、通信制高校のリアルな魅力をご紹介します。小学校でのつまずきから、N中等部へお子さんが通信制という選択肢を意識したのは、小学4年生の途中から不登校になったことがきっかけでした。小学校2年生の時に東京から地方に引っ越したものの、小規模校で学年20人程度の環境でした。その中で都会から来たというだけでやっかまれてネガティブなことを言われることがありました。お母さまはお子さんにいじめてくる子と一緒に勉強する必要はないと伝えました。結局人間関係がどうしても合わず、小学4年生の時に学校に通うことが難しくなっていきました。学習の遅れを家庭でどう補うかを考える中で、スタディサプリを使って自学に取り組みます。その後、小学校卒業を控え、中学への進学を考える段階でN中等部の存在を知ります。学区の中学校に進めば、小学校と同じ人間関係が続くことがわかっており、本人にとってはそれが強いストレスでした。そんな中で見つけたN中は、「自分の好きなことに集中できそう」「ITスキルも身につけられる」という魅力があり、本人も積極的に関心を持ちました。また、お母さまは「自分の娘には今を生き抜く力を身につけてほしいと思っていた」と語ります。国語・数学・英語の勉強だけでなく、ツールを使いこなす実践的な力が大事だと実感していたからこそ、N中等部のカリキュラムに大きな価値を感じていたようです。実際にN中に進学してからは、マックブックを使った実践的な学びに夢中になり、オンライン上で趣味の合う仲間とゆるやかに交流することができました。Slack(N中等部で用いられるコミュニケーションツール)で同好会を立ち上げて、多くのメンバーを集め、充実した学校生活を送っていました。3年生になってからは対面のワークショップや磁石祭(N高グループの文化祭)に友人と参加したり、そこで出会った友人と一緒に遊ぶなど、リアルでもオンラインでも同級生とつながりを深めていきました。ネットコースで深まった自立心と学ぶ力N高等学校にはそのままネットコースに進学しました。通学コースを考えていたものの地方在住のため、通学型のキャンパスは近くにありませんでした。そのため生活スタイルを大きく変えずに学べるネットコースは、本人にとって無理なく継続できる最適な環境でした。入学後は、ネットコースの自由度を活かしながら、好きなことに熱中する生活が始まります。高校1年生の時はオンライン通学コースも週1で併用しましたが、PBL(グループワークで取り組む課題解決型学習)の内容がN中等部で行ったものと重複する部分が多く、時間の効率を考えてオンライン通学コースは早々にやめ、ネットコース一本に切り替えました。その後はネットコースでレポートに取り組み単位取得を行う生活を送りました。レポートで分からない箇所があると、スラックやZENstudy(N高で使われる映像授業のプラットフォーム)の中で聞くことができました。高校2年生になると、地元の飲食店でアルバイトを始めます。お金をためて推し活するという目標があり、自分でスケジュールを組んで、昼過ぎから夕方までアルバイト、帰宅後はレポート提出という日々を送るようになりました。アルバイトをする中でお母さまは、知らない人とのコミュニケーションの機会が増えることで、お子さんのコミュニケーション力が身についてきていると感じたそうです。この頃から、自主性がより一層育まれたと保護者は語ります。「やらなければ卒業できない」という明確な基準があったからこそ、自ら動く力が育ったのです。また、ネットコースでの学びは単なる動画視聴にとどまらず、投資部や企業部、企業との連携イベントなど課外活動の機会が豊富に用意されており、本人もスラック上で行う同好会やワークショップを通して積極的に活動を広げていきました。沖縄本校に行くスクーリングでは、座学もあるなかで海辺での水遊びや、貝殻などを生かした工作の体験がありました。また家庭科実習では郷土料理であるちんすこうの作り方を習い、自宅でも作ってくれたといいます。進学と将来——通信制だからこそ見えた可能性進路については、高校1年の頃からオープンキャンパスに参加しており、最初は通信制の大学に関心を持っていました。やがて地元の大学への進学も視野に入れ始め、高校2年の頃には心理学を学びたいという具体的な目標ができていきました。学校の進路支援については、毎月zoomで面談があり、進路の方向性などその時々でアドバイスいただいているそうです。通信制高校の真の価値とはお母様は通信制高校、特にネットコースに通うことへの不安がなかったわけではありません。しかし、お子さんの成長ぶりを見る中で、その選択が正解だったと確信するようになりました。「ネットだからこそ全国に友達ができる」「移動時間を勉強や好きなことに使える」「N高には他の高校では味わえない経験がある」と語ります。一方で、通学する必要がないため運動不足になりやすく、体を動かす場があったり、地域のスポーツクラブと提携する仕組みがあればといった改善点も感じていたそうです。N高グループの母体が大きいからこそいろんなコンテンツがあり、うまく活用することができればお値段以上の経験になると言いました。最後にお母様はこう締めくくります。「ネットコースだから根暗になるとか、成長できないとか、そういう時代じゃないんです。今の時代に合った“居場所”がちゃんとある。本人がやりたいように学べるなら、それが一番なんです。」