不登校をきっかけに見つけた「新しい学びの形」お母さまは、札幌市で4人の子どもを育てる母親です。看護学校で教員として働いていた経験を持ち、教育に対して一定の理解と関心を持っていました。しかし、長女が中学生のときに担任の先生とうまくいかなくなり、次第に不登校の状態が続くようになったといいます。「長女が学校に行けなくなってから、他の子どもたちもなんとなく“行かない選択”をするようになっていきました。最初は戸惑いましたが、無理に学校へ行かせることが必ずしも正解ではないと思うようになったんです」とお母さまは振り返ります。高等学校の卒業資格は必要だと感じながらも、全日制の高校には通いにくい――そんな中で出会ったのが、クラーク記念国際高等学校でした。学校の立ち上げに関わった知人から話を聞き、オープンキャンパスに参加したところ、先生方の温かい雰囲気と自由な学び方に魅力を感じたといいます。「学校で楽しそうにしている生徒の姿を見て、ここなら大丈夫かもしれないと思いました。長女が通い始めて、少しずつ自信を取り戻していく姿を見て、通信制高校の可能性を実感しました」長女の成功体験が、結果的に兄弟全員の進路選択にもつながりました。現在、4人の子ども全員がクラーク高校に在籍、または卒業しています。「通う日数を選べる」安心と自由――家庭に合った柔軟なスタイルお母さまの家庭では、子どもたちはそれぞれ月1回の通学コースを選択していました。3番目の子どもだけが週2回通っていたものの、基本的には自宅で学習を進めるスタイルです。「うちはみんなそれぞれ性格が違います。長女は学童でバイトをしていたり、二番目は学習障害があったり。自分のペースで取り組める通信制は、みんなにとって合っていたんだと思います」札幌大通キャンパスはアクセスもよく、同じように通信制を選ぶ家庭が増えていた時期でもありました。通学の負担を減らしつつ、最低限の対面授業で単位を取得できる安心感は大きかったそうです。「通学は年に10回もない程度。理科や美術などスクーリングが必要な教科だけ通い、あとは自宅のパソコンで課題を進めていました。子どもたちは自分で時間を管理し、夜はアルバイト、夕食後に課題を進めるなど、自然と社会的な生活リズムが身についていました」母親としても「手伝ってと言われない限りは手を出さない」スタンスを貫いていたといいます。「大変そうだな、と思うことはあっても、あくまで“自分の課題”として取り組ませることが大切だと思っていました」教師との距離と信頼――「大人として接してくれる学校」通信制高校と聞くと、「先生との関わりが少ないのでは」と心配する保護者も多いですが、お母さまは「良くも悪くも距離がある」と語ります。「クラーク高校の先生方は、生徒を“子ども”というより“一人の大人”として見てくれていた印象です。就職、進学のサポートはあんまりなく、自主性に任せる感じ。通学コースの人とかだともっと気にかけてくれると思います。」しかし学習に関するサポートはかなり手厚いようです。「課題が難しい時に電話やメールで質問はできるみたいです。課題に早く取り組めば余裕をもってわからないことを聞けるので、提出期限より早く取り組むのが得だと思います。」一方で、通信制高校ならではの苦労もありました。「三年間で卒業できると思っていたけれど、課題の進み具合によっては留年することもあると聞いて、正直心配でした。でも、子どもたちは自分でスケジュールを立ててコツコツ進めていました。通信で卒業までやりきるのは本当に大変なこと。尊敬しています」また、全国にキャンパスがあるクラーク高校ならではのメリットも。北海道内で引っ越し他ときも転校手続きがスムーズで、通学環境の変化にも対応できたといいます。「通信制にしてよかった」――それぞれの進路と自立のかたち子どもたちはそれぞれのペースで卒業し、社会へと巣立っていきました。長女は学童のアルバイトをきっかけにそのまま就職し、25歳で大学に入り直してから再び教育の現場に関わるようになったそうです。「長女は学校の先生との関係で不登校になりましたが、通信制に進んだからこそ“中退”せずに卒業でき、次の道につながったのだと思います。もし無理に全日制に通っていたら、途中で心が折れていたかもしれません」他の子どもたちも、それぞれ自分に合った働き方を見つけています。中学卒業後すぐにアルバイトを始め、社会経験を積んだり、専門学校を経て就職したりと、自立への道を歩んでいます。「通信制高校での学びは、自由が多い分、自分で考える力が身につくと思います。課題を早めに終わらせれば先生とのやり取りもスムーズになるし、期限を守る責任感も育ちます。うちの子たちは社会に出てから“報連相(ホウレンソウ)ができる子”になっていて、それは通信制での経験が大きいのだと思います」「普通じゃなくてもいい」――母としての想いとエール看護師として長年働いてきたお母さまが、4人の子育てを通して得た一番の学びは、「生きていることが何より大事」ということでした。「親として、普通の高校に行ってほしいと思う気持ちは分かります。でも、子どもの人生は子どものもの。通信制高校に進学して悪いことばかりでもないし、選択肢としてありだと思います。自立性が養われるところはむしろ良い。不安かもしれないけどこの進路もまあアリだと思って見守ってていいのかな。」そして、通信制高校に通う生徒たちが抱く“自由”には、責任と成長が伴うと語ります。「ドラマで見るような青春はできないかもしれないけれど、その分、自分の時間をどう使うかを考える力が身につきます。自由だからこそ、自分の人生を自分で選ぶことができる。それが通信制高校の最大の魅力です」まとめ:通信制高校は「自立の第一歩」お母さまの家庭では、4人全員が通信制高校という道を選び、それぞれのペースで社会へと羽ばたきました。親として見守る中で、「通信制だからこそ得られる成長」があったといいます。「最初は不安もありました。でも一人卒業したら、もう信用しかなくなりました。人間関係がしんどい子や、自分のペースで進みたい子にとって、通信制高校は本当に良い選択肢だと思います」“普通”ではない選択をしたからこそ見えた、新しい教育のかたち。通信制高校で学ぶという決断は、決して後ろ向きではなく、「自分の人生を自分で生きる」ための第一歩なのかもしれません。