全日制高校から通信制高校へ転入し、関西の大学に進学。そして現在はIT企業に内定し、新しいスタートを切ろうとしている一人の学生に、通信制高校で過ごした日々と、その中で感じたことを聞きました。通信制高校への進学を迷っている人にぜひ読んでほしいインタビューです。全日制高校で失った自信と、通信制高校という選択大学4回生の彼女が、N高等学校に転入したのは高校2年生の11月。当時は全日制の公立高校に通っていましたが、高校2年生の夏休み明けから次第に通うのが辛くなっていったと言います。「1年生の時は頑張って通っていたけど、2年生になって部活の人間関係や、クラスの中でうまく人と話せないこと、自身のルックスへの執着でだんだんしんどくなっていきました。夏休み明けにはなんとなく学校をやめたいと思うことが増えていきました。」高校2年生の夏休み明けは週の半分ほど学校に登校していましたが、次第に「人と比べてしまう怖さ」や「学校に行くのが怖い」という気持ちが大きくなっていきました。そこで彼女が考えたのが「登校しなくても卒業できる通信制高校」でした。N高ネットコースでの生活通信制高校に転入するにあたってパンフレットを取り寄せたのは、N高のほかに第一学院高校、クラーク高校、屋久島おおぞら高校など。その中でN高を選んだ理由は「高校はとにかく卒業したいけど、ネットコースだとスクーリング回数が少ないから通学しなくていいと思った。そして生徒数が多く、有名校だったから安心感があった」ことでした。実際に転入してみて、N高ネットコースの生活はどんなものだったのでしょうか。「正直、自分が学校に所属している感じはあまりありませんでした。Slackで必要な連絡は届くけれど積極的に交流しようとはあまりならなかった。クラスは一応ありますが100人規模とかで、担任の先生はいるけれど必要な時にしか連絡しませんでした。」ネットコース内のコミュニケーションはSlackというコミュニケーションツールを用いました。その際担任の先生とのコミュニケーションは必須ですが、クラスメイトや他のN高生との連絡は任意でした。趣味をもとに知り合ってコミュニケーションを行う人が多くいたそうです。単位取得の学習は、オンデマンド型の専用アプリ「ZenStudy」(旧N予備校)を使って進めます。動画を視聴して小テストに答え、年4日ほどスクーリングで登校して単位を取得しました。動画は1日2時間ほど視聴して2、3か月かかりました。また、1年に1回はテストをキャンパスに登校して受ける必要がありましたが、難易度としてはそこまで難しくないテストでした。「学校に毎日行かなくていい分、受験勉強に集中できたのは大きかったです。単位取得の勉強の拘束時間は短いので、大学受験の勉強に特化できました。」通信制高校で感じた壁と、その先に見えたもの通信制高校という選択肢は学校を行きづらく感じていた彼女にとって希望であった一方、いいことばかりではありませんでした。「大学受験対策は、N高で1人で勉強するだけでは不十分だと思って、塾で主に進めました。世界史だけはN高の動画授業をよく視聴していましたが、英語や国語は自分のペースで勉強することが難しくて塾に通いました」そして、人との出会い方にも難しさを感じていました。「積極的に動かないと友達はできないし、友達ができてもネット上の存在だからずっと孤独感がありました。ネットの友達と直接会う勇気がなくって、リアルで話せる友達が欲しいと思っていました。あと、自分が通信制高校に通っていることで、社会からどう見られるんだろうという不安もありました」それでも、大学に進学してから少しずつ考えが変わっていきました。「最初は通信制出身であることを負い目に感じていました。でも、大学の友人たちは通信制出身だからといって偏見を持っているわけではないし、普通に接してくれると気づいたんです。若い人たちの間では『通信制』も普通なんだと実感できました」大学に進学してから、彼女は出身高校は大した問題ではないと実感しました。自分を取り戻すための選択は間違いじゃなかった通信制高校を選んだ理由は、「今の環境から抜け出したい」という気持ちが大きかったと話します。それでも、その選択が自分の未来を変えていったのは事実でした。最後に、今通信制高校を考えている人へ、こうメッセージをくれました。「もし『今の学校がしんどい』と思うなら、通信制高校は本当に選択肢の一つとしていいと思います。周りの目より、自分がどうしたいかを大事にしてほしい。環境を変えることで少しずつでも、自分を取り戻せる道がきっと見つかると思います」