全日制から通信制へ――通いたいのに通えなかった高校生活
彼が通信制高校への転校を考え始めたのは、高校生活の途中でした。
もともと通っていたのは公立の全日制高校で、部活動にも熱心に取り組み、クラスメートとの関係も良好でした。
「友人関係も楽しく、学校自体は嫌いではなかった」と彼はいいます。
しかし、家庭環境の影響によって、次第に心身の調子を崩していきました。体調が悪い日も無理をして1時間かけて登校していましたが、次第に「このまま続けるのは難しい」と感じるようになったそうです。
通いたい気持ちはあるのに、どうしても体がついていかない――。そんな日々の中で、彼は転校という選択肢を意識するようになります。
通信制高校を調べる中で、彼は「クラーク記念国際高等学校」と「おおぞら高等学院」を比較検討していました。
クラーク記念国際高校は制服があり、週5日登校する全日型のスタイルだったため、全日制高校と環境を大きく変えずに通うことができると感じました。また学校説明会で先生の説明が丁寧だったことに加え、先生全員が「学習心理支援カウンセラー」を取得しておりサポート体制が手厚い点、またキャンパスの立地がよかった点を魅力に感じました。
もともと通っていた地元の高校は規律が厳しく、自由にのびのびと過ごせる環境を求めていたため、クラークの“全日制に近い通信制”という形は魅力的に映ったそうです。
転校初日から感じた「人のあたたかさ」
転校初日は、知らない環境に不安を抱いてのスタートでした。
しかし、予想に反して、初日からすぐに友人ができたそうです。中学時代の友人が同じキャンパスにいたことや、友人の友人を通して自然とつながりが生まれたことが大きな安心につながりました。
通信制高校というと「一人で勉強する」「人との関わりが少ない」というイメージを持たれがちですが、クラークではその印象がまったく異なっていたといいます。
街中にキャンパスがあるため、放課後には友人たちと一緒に買い物をしたり、カフェで話したりすることも多く、日常に「高校生活らしさ」が戻ってきたそうです。
また、クラークには「ゼミ」という授業形式があり、彼は写真ゼミに所属していました。
授業では、実際に街へ撮影に出かけたり、生徒同士で作品を見せ合ったりと、主体的に学ぶ楽しさがあったと話しています。
「みんなで作り上げる授業」という雰囲気があり、以前の学校では味わえなかった学びのスタイルを体験できたようです。
文化祭では劇や合唱を行い、修学旅行では4泊5日で沖縄に行くなど、行事も豊富でした。
「通信制でもここまでできるんだ」と驚いたそうです。
体調がすぐれないときは途中から登校することもありましたが、それを受け入れてくれる柔軟な学校の姿勢にも安心感があったといいます。
授業・先生との関わり――カウンセリングの質の低さ
クラークの授業は、生徒が主体的に考え、動くことを大切にしているのが特徴でした。
グループワークが多く、外部講師を招いた専門授業もあり、生徒の興味を引くような内容がそろっていました。
「みんなで学ぶ楽しさを取り戻せた」と彼はいいます。
一方で、通信制ならではの課題も感じていました。
クラスによって学力差が大きく、「もう少し一人ひとりに寄り添った指導があればよかった」と思うこともあったそうです。
外部講師による授業は質が高かった一方、日常的な授業では先生によってばらつきが見られたと話していました。
それでも、先生たちとの距離は全日制よりも近く、相談しやすい雰囲気があったといいます。
行事の準備の際も先生が一緒になって動いてくれたり、生徒一人ひとりの様子を気にかけてくれたりする場面も多かったそうです。
また、クラークでは「先生全員がカウンセラー資格を持っている」とうたっていました。
しかし実際には、忙しさから十分な相談対応ができていないと感じる生徒も多く、彼自身も「そこは残念だった」と語っていました。
「カウンセラーの資格を持っているといっても、誰でも取れるもので、サポート体制としては十分とは言えない部分もありました」と率直に振り返っています。
それでも、面接練習や進路相談の場面では先生が親身になって対応してくれ、進路支援についてはとても満足していたようです。
特に、クラークでは進学意欲の高い生徒も多く、学習サポートや面接対策が手厚かったとのことです。
通信制高校ならではの学びと自立の時間
通信制高校では、スクーリング(通信による学習)が必修となっています。
クラークでは動画を視聴して課題を提出する形式で、オンライン上で小テストのような確認も行われていました。
内容はわかりやすく、自分のペースで進められるのが大きな利点だったといいます。
また、外部の塾による動画授業を無料で受講できるオプションもあり、難関大学を目指す生徒にとっては魅力的な仕組みでした。
「私はまず体調を整えることを優先していましたが、やる気のある生徒にとってはとても良い環境だったと思います」と話していました。
勉強面では、先生に質問するよりも、生徒同士で教え合うことが多かったそうです。
同じ課題を共有する中で「自分から学ぶ姿勢」が自然と身についたといいます。
通信制高校での学びは、単に授業を受けるだけではなく、自己管理力や自主性を磨く時間でもあったようです。
部活動と行事、そして「心のリハビリ」
クラークでは、生徒が自分たちで部活動を立ち上げることができました。
彼は「心理学部」を設立し、同じように心理や福祉の分野に興味を持つ仲間たちと勉強会を開いたそうです。
ほかにも、フットサルや合唱など、生徒発信の部活動が数多くあり、学校全体に活気がありました。
修学旅行は4泊5日の沖縄。文化祭や発表会も盛り上がり、通信制高校でありながら、全日制と変わらないほどの充実した学校行事がそろっていました。
「先生たちが本気で行事に取り組んでくれることが印象的でした」と彼女はいいます。
生徒の主体性を尊重しつつ、しっかりサポートしてくれる先生の姿勢が、全日制とは違う魅力だったそうです。
また、不登校経験のある生徒も多かったものの、誰もがフレンドリーで、過去を気にせず新しい関係を築いていく姿が見られたといいます。
「クラークでの生活は、心のリハビリのような時間だった」と彼女は語っていました。
進路選択とその後――心理職を目指して
もともと建築関係の仕事に興味を持っていた彼ですが、高校2年の頃から心理分野に関心を持つようになりました。
クラークでの経験を通して、「人の気持ちに寄り添う仕事をしたい」と思うようになったそうです。
進路相談の際には、先生や外部カウンセラーから「あなたはカウンセラーに向いていると思う」と言われ、自分の将来を真剣に考えるきっかけになりました。
そして、通信制高校を卒業後は、心理学を学べる大学へ進学。
現在は上京して一人暮らしをしながら、心理職として児童福祉施設で勤務する予定です。
通信制高校を振り返って――「自分を見つめ直す時間だった」
彼はクラークで過ごした日々を「自分を見つめ直す大切な時間だった」と振り返っています。
「いろんな事情を抱える生徒が多い学校でしたが、それぞれが自分のペースで前を向いていました。通信制高校は、自分自身を俯瞰して見る良い機会になると思います」と話します。
最初は戸惑うことも多かったものの、通ううちに少しずつ自信を取り戻していった彼。
通信制高校での経験は、単に“学び直し”の時間ではなく、“生き直し”の時間でもあったのかもしれません。
クラーク記念国際高校での日々は、彼女にとって「もう一度人と関わりながら学ぶ喜びを取り戻す場所」であり、今の仕事につながる原点でもあるようです。
通信制高校という選択は、彼にとって“再出発”のきっかけになりました。

