「親元を離れて挑戦したい」という思いからスタート
親元を離れたいという理由で離島にある隠岐島前高校へ進学し、寮生活を送りながら学校に通っていました。隠岐島前高校は地元の人や企業などと様々な体験ができ、全国から島留学にやってくる高校です。企業の社長さんと関わったり、海外支援のプロジェクトに関わったりと、特色ある経験ができる学校に惹かれていたといいます。
「普通の高校生にできないことに挑戦したい」という気持ちが強かった一方で、学業面では国公立大学を目指すというプレッシャーもありました。親の意向で地元から通える国公立を目指すことになり、ハイレベルな大学を目指すことになりました。そのため空いている時間は全て受験勉強に費やし必死に受験勉強を進める中で、精神的にも追い込まれていきました。
精神面での限界、そして三重県立北星高校への転入
心身の状態が悪化し、うつの診断を受けて地元に戻ることを決断。医療機関への通院も必要になりました。
地元で通える高校を探す中で、定時制も候補にはありましたが、「不良が多い」という風評が気になり、選ばなかったそうです。通信制高校ではN高、S高も選択肢になりましたが、学費の観点から最終的に、公立の通信制高校・三重県立北星高等学校へ編入することになりました。
公立通信制高校のリアル
編入当初は「友達ができるかな」と不安もありました。しかし実際に通ってみると、前の学校との雰囲気の違いに大きな衝撃を受けたといいます。
「すごく暗い雰囲気で、生徒同士の会話も一切ない。先生にはこの高校の学力では大学進学は無理だからやめたほうがいい、とも言われた」と聞かせてくれました。授業は個別履修で、生徒同士が顔を合わせる時間も少なく、自然に友達を作るのは難しかったそうです。授業中もグループワークなどはなく、会話のきっかけが生まれにくい環境でした。
救いになった保健室の先生の存在
そんな学校生活の中で心の支えになったのが、保健室の先生でした。
「保健室の先生とは、夢や将来の話も聞いてもらえたし、否定されることがなかった。それがすごく有難かった」と話します。IT系の仕事に就きたいという夢も、「うちの高校の学力じゃ無理」と言われることはなく、ただ受け止めてもらえたそうです。
学校に常駐していたスクールカウンセラーは曜日や時間が合わず、利用できませんでしたが、保健室だけは安心して通える居場所になっていました。
通信制高校を卒業、その後の進路
受験期は体調や精神面で厳しい状況でした。高校卒業後は、体調や精神面の不安もあってまずは短期大学へ進学しました。「すごく行きたいというよりも、とりあえず進学できる場所」とのことでしたが、入学後に少しずつ環境に慣れていきました。
短大1年生のときはまだ病気の影響もありましたが、2年次には回復して、アルバイトをしたり友達もできたりと、大きく変化があったそうです。
さらに3年次には放送大学へ編入。現在はアルバイトをしながら自宅学習を進めています。アルバイト先は飲食店で、短大のときから1年以上続けている職場。友達もでき、社会とのつながりも広がっているといいます。
振り返って思うこと:公立通信制高校のメリット・デメリット
公立の通信制高校を選んだ理由は、何よりも「学費の負担を抑えるため」でした。実際、私立に比べて学費の面では大きなメリットがありました。
ただし「コミュニティを作るのは本当に難しい」とも感じたと話します。私立の通信制高校のほうが、友達ができやすいような仕組みやイベントが充実していることが多いと感じたそうです。
また、「通信制高校は結局、自分で計画を立てて、自分で学びを進める覚悟が必要」とも。誰かに引っ張ってもらえる場面は少なく、自主性が強く求められる環境だったといいます。
また、保健室の先生との出会いや高卒資格を取れたことは、本当に大きかった」と振り返ってくれました。

