コロナ禍で露呈した学校生活への違和感と、適応障害という診断
中学校2年生の夏、コロナ禍による一斉休校は、一人の少女の運命を大きく変えるきっかけとなりました。それまで心の奥底に抱えていた「学校という場所がしっくりこない」という違和感が、休校という断絶を機に一気に露呈してしまったのです。
学校が再開しても足が向かず、病院の精神科で下された診断は「適応障害」。公立中学校特有の一律な対応や、先生に気軽に相談できない空気感に、彼女の心は限界を迎えていました。自分からアクティブに動かなければ誰とも話せない孤独感に、彼女はどんどん追い詰められていきました。
「普通の学校」を求めて——10校以上の資料から辿り着いたNHK学園
「それでも高校卒業の資格だけは取りたい」。そんな娘の願いを受け、お母さまは一緒に高校探しを始めました。当初は公立の定時制高校も検討しましたが、通学の負担や独特の雰囲気が本人には合わず、選択肢を通信制高校へと広げます。
東京・府中市に住む彼女には、「知り合いに会いたくないので地元の駅周辺は避けたい」という切実な希望がありました。10校以上の資料を取り寄せ、立川の飛鳥未来高校なども見学しましたが、どうしても心が動きません。多くの通信制高校がビルの一角を借りた「オフィスのような教室」であるのに対し、彼女が求めていたのは、もっと本質的な「学校らしさ」だったからです。
そんな中で出会ったのが、NHK学園高等学校の国立本校でした。国立の美しい街並みや広い歩道、そして何より、広い校庭や体育館を備えた「本物の学校」としての設備が彼女の心を捉えました。ここなら運動会や文化祭、修学旅行といった行事も大規模に楽しめる。その直感が、入学の決め手となりました。
満員電車を避けた10時登校と、先生方の温かな「よく来たね」
2022年4月、彼女は週3日コースでの生活をスタートさせました。毎日通うのは難しくても、週に数回なら。朝10時からの登校は通勤ラッシュのストレスもなく、心身に余裕をもたらしました。
もし朝起きられずに午後から登校しても、先生方は決して叱ることなく「今日はよく来たね」と笑顔で迎えてくれました。全館空調の快適な校舎の中で、自分の授業がある時間に合わせて登校し、終われば帰宅する。この同調圧力のない自由なスタイルが、彼女の不安を「安心」へと変えていきました。学校に行けない日は自宅でNHK高校講座の動画を見て学習を進めればよいという柔軟さも、大きな支えとなりました。
レポートに苦しんだ1年目を乗り越え、自分の好きな「服飾」の世界へ
もちろん、すべてが順風満帆だったわけではありません。1年生の頃は、学校には通えてもレポート学習が追いつかず、「このままでは進級できないかもしれない」と焦る時期もありました。しかし、動画講座の内容は非常に分かりやすく、ポイントが整理されていたため、期末の踏ん張りで無事に2年生へと進むことができました。
2年生以降は生活リズムも安定し、学習の合間に大好きな服飾やハンドメイドの活動に没頭する時間を確保できるようになりました。単位制だからこそ、必須の学びを終えた後は自分のやりたいことに時間を使える。彼女はこの頃から「もっと服飾を極めたい」という具体的な未来を描き始めます。
「あすなろカフェ」での雑談から拓けた、文化学園大学への合格
進路に迷う彼女の背中を押したのは、NHK学園ならではの手厚いサポート体制でした。特に「あすなろカフェ」という、お菓子やお茶を楽しみながらスタッフと雑談できる場は、職員室へ行くのが苦手だった彼女にとって大切な居場所となりました。そこで出会った進路指導の専門家から、今の進学先である文化学園大学の存在を教えてもらったのです。
第一志望のAO入試に向けては、先生方が二人三脚で支えてくれました。予約制の面接指導や志望理由書の添削には、1日2時間を費やしてくれることもありました。担任だけでなく進路専任の先生が複数いるからこそ、一人ひとりに合わせた緻密な対策が可能だったのです。彼女は自分の作品を持ち込み、熱意を伝え、見事に合格を勝ち取りました。
経験者が語る、後悔しない通信制高校選びのポイント
現在は、憧れの大学でファッションを学ぶ日々を送っています。週6日の講義というハードな環境に戸惑うこともありましたが、高校時代に培った「自分のペースを調整する力」を使い、大学側と相談しながら通学リズムを整えています。
振り返れば、両親が「金銭的な心配はしないでいい」と支え、一緒にパンフレットを探してくれたことがすべての始まりでした。お母さまは「サポート校を介さず、学校単体でこれだけ手厚い指導が受けられる環境を選んで本当に良かった」と語ります。
自分に合った環境を選び、自分の時間を自分の手で動かしていく。彼女にとってNHK学園での3年間は、未来を切り拓くための立派な「戦略的な選択」だったのです。

