クラーク記念国際高等学校を選んだ理由とは?
彼は中学時代、中高一貫校に通っていました。しかし、当時の担任教師との相性が悪く、次第に学校から足が遠のき、不登校気味になってしまいます。中学3年生の時、「自分が行ける高校はどこにあるのか」と必死に探した結果、選択肢に挙がったのが通信制高校でした。
プログラミングへの興味が決め手
当時、彼はプログラミングに強い関心を持っていました。比較検討した学校には、N高等学校や第一学院高等学校もありましたが、当時の彼にはカリキュラムの決定的な差が見えなかったと言います。
「どこも似ているように見える中で、プログラミングが本格的に学べるという点がクラークに決めた理由でした」
彼は、ただ卒業資格を得るだけでなく、自分の興味を深められる環境を求めてクラーク記念国際高等学校を選びました。
入学前の不安と期待
入学前は、期待よりも不安の方が大きかったと振り返ります。 「もともと不登校だったので、そもそも週5日も出席できるのかという不安がありました。また、通信制にはどんな人がいるのか、周囲の環境や人間関係についても未知数でした」
しかし、結果として彼は1年次に「週5日通学コース」を選択し、新しい一歩を踏み出すことになります。
通信制高校のリアルな学校生活と「コロナ禍」で崩れた計画
クラーク記念国際高校での生活は、通学スタイルとオンラインスタイルで大きく異なります。しかし、彼が理想としていた「専門スキルの習得」は、新型コロナウイルスの流行によって大きな壁にぶつかりました。
専門スキルの授業と先生のサポート
週5日通学コースのカリキュラムは、1日のうち午前中に一般教科を、午後にはプログラミングなどの専門授業を行うという構成でした。
プログラミングの学習環境は非常に恵まれており、授業は生徒の習熟度に合わせてレベル別に行われます。
指導にあたる専門の先生は非常に優しく、生徒一人ひとりに寄り添った丁寧なレクチャーをしてくれるため、彼のモチベーション維持にもつながりました。さらに、現場には大学生がメンターとして加わり、生徒の学習をきめ細かくサポートしています。
このように、プロの講師による本授業に加え、身近な相談相手である大学生メンターが控えていることで、初心者でも挫折しにくい手厚い体制が整っていました。
人間関係の「グループ化」と格差
生徒同士の人間関係については、通信制ならではのシビアな側面もありました。
「気の合う友人ができたのは大きな収穫でしたが、クラス内にはいくつかのグループができ、そこに入れた子は登校を続けられます。しかし、馴染めなかった子は次第にオンライン型へ移行していくという現実がありました。」
彼は幸いにも友人に恵まれ、放課後にアルバイトをしたり、友人と外食を楽しんだりと、充実した高校生活を送ることができました。
コロナ禍によるカリキュラムの停滞
しかし、順調に見えた生活はコロナ禍で一変します。彼が期待していたプログラミングの授業はすべてオンライン化されてしまいました。
そこには通信制高校ならではの課題があったと言います。
「プログラミングもオンラインになると、授業があまり進まなくなりました。周囲には継続力が課題の生徒も多く、画面越しではモチベーションを維持できずに脱線してしまう子が続出していました」
彼自身も、対面ではない授業にモチベーションの低下を感じ、当初の目的であった「プログラミングへの熱意」を維持することが難しくなっていきました。
また、彼自身は留学コースではありませんでしたが、同コースでは留学プログラム自体がなくなり、周囲の生徒たちが落胆している様子を目の当たりにしました。
プログラミングへの熱意を削がれる環境や学校全体に漂う停滞感は、通学コースをやめてオンラインへと切り替える大きな要因となりました。
通学コースをやめて「オンラインコース」へ転向した本当の理由
彼は2年次から、あえて「週5日通学」をやめ、オンラインコースへと切り替えました。そこには、学校の授業レベルと自分の目指す進路との間に、埋めがたいギャップがあるという現実的な判断がありました。
受験レベルには到底届かない授業内容
通信制高校の授業は、あくまで「高校卒業」を目的とした基礎的な内容が中心です。
そのため、大学受験を目指すには学校の授業だけでは全く足りないというのが現実でした。
実際に、高校の授業は数学IAなどの基礎レベルまでしか行われず、早慶・関関同立などの難関大入試に必要な応用力はカバーされていません。たとえ大学進学コースであっても、コロナ禍でオンライン化された授業に高い学力を期待するのは難しい側面がありました。
こうした状況から、彼は「受験レベルの勉強を考えると、学校の授業に頼る意味があまりない」と痛感しました。
コロナ禍で授業形式が変わってしまった以上、無理に通学コースに固執するよりも、オンラインに切り替えて自習の時間を確保したほうが賢明であると判断したのです。
オンラインコースの学習実態とスクーリング
2年次からのオンラインコースでは、学習は極めて形式的なものになりました。
レポート提出: 専用のサイトで行う。教科書を見ながら答えを探して入力する形式。
スクーリング: 内容は形式上の授業。テスト形式のレポートの答え合わせをする程度。
この「最低限の負担で単位が取れる」という仕組みを逆手に取り、彼は学校の勉強を効率よく終わらせ、浮いた時間をすべて大学受験のための外部学習に充てることに決めたのです。
通信制高校で直面した苦労・困難と学校側の課題
通信制高校は自由度が高い反面、学校側の対応や環境面で課題を感じることも少なくありません。彼は、自身の経験から「改善してほしい点」を振り返りました。
学校側の事務対応の遅さ
2年次からオンラインコースに切り替えた際、特に顕著になったのが「連絡の遅さ」です。
彼は学校の事務的な対応に対し、非常に強いストレスを感じていました。
実際に電話をかけても担当者が不在であることが多く、単位取得に関する重要な情報がなかなか更新されないといった事態が多々あったためです。
こうした経験から、彼は「通信制高校、特にオンライン主体で学習を進める場合は、生徒側から積極的にアクションを起こさないと情報が滞るリスクがある」と実感しました。
現場の先生に直接尋ねても「わからない」と言われることがあり、情報の不透明さを感じる場面も多かったと振り返ります。
いじめ問題への対応力
また、心の繊細な生徒が多い通信制高校だからこそ、生徒間のトラブルへの対応も課題でした。
「いじめが起きてしまった際、先生方の初動が遅いと感じました。先生方は優しく、精神的に不安定な子に寄り添うことは得意なのですが、加害生徒に対して毅然と怒ることができない面がありました」
結果として、いじめに対応しきれない状況を見て、クラスの多くの生徒が通学をやめ、オンラインコースに変更するという事態も起きました。先生が「優しすぎる」ことが、トラブル解決においてはデメリットに働くケースもあったのです。
通信制高校から立命館大学合格へ!受験対策の進め方
通信制高校の授業だけで、立命館大学のような難関大学に合格するのは容易ではありません。彼は、早い段階から学校の授業と受験勉強を明確に切り離して考えていました。
早慶を第一志望に据えた外部対策
彼は当初、早稲田大学や慶應義塾大学の情報系学部を第一志望に掲げていました。
しかし、クラークでの一般的な授業は、数学であれば「ⅠAの基礎レベル」までしかカバーしていません。
彼は、受験を考えるのであれば「学校の授業はあてにできないのが現実だ」と考えていました。
多くの通信制生徒はAO入試を選択しますが、一般入試で難関大合格を掴むためには、早い段階で学校以外の学習リソースを確保する必要があると感じていたのです。
独学と「武田塾ルート」の活用
当初は集団指導の予備校に通いましたが、そこでも通信制高校の生徒に対する偏見や、カリキュラムの不一致に悩まされました。
「通信制の生徒を教え慣れていないスタッフに後回しにされる」という経験を経て、高校3年生からは完全に独学へと切り替えます。
彼は、兄が使っていたカリキュラムや「武田塾」が推奨する参考書ルートを参考に、自分専用の学習計画を立てました。キャンパスの自習室や図書館を使い、徹底した自己管理のもとで受験勉強を完遂しました。
第一志望には届かなかったものの、その主体的な努力が立命館大学合格という結果に結びついたのです。
大学生活のリアル:通信制出身でも馴染めるのか?
「通信制高校から大学に入って、周囲と上手くやっていけるのか」という不安は、多くの保護者や生徒本人が抱く悩みです。彼の現在の様子は、その不安を拭い去る一つのロールモデルと言えます。
趣味嗜好でつながる人間関係
大学入学後、彼はマジックサークルや国際系のボランティア活動に参加しました。
結果としてサークル活動自体はやめてしまいましたが、そこでの経験を通じて、高校時代と同様に「自分の趣味や嗜好が合う人」を見つけ出すことができたと言います。
「通信制高校には何かしらの背景を持って入学する子が多く、世間からのレッテルを感じることもありました。しかし大学でも、自分と波長の合う友人を見つけるプロセスは変わりません。今は自分の居場所を見つけ、充実した学生生活を送っています」
明確な就活の軸とベンチャー企業への内定
大学生活を経て、彼は現在、AI事業を手がけるベンチャー企業への内定を掴んでいます。
就職活動において、彼が明確に据えていた軸は「いわゆるコンサルティング会社であり、かつ新規事業の立ち上げに携わることができる環境」という点でした。
この軸に基づき、自ら積極的に企業を探す中で、最終的にtoC向けのAI事業を展開するベンチャー企業と出会いました。
「新規事業ができるという自分の軸に合致していたことはもちろんですが、その会社の人たちと実際に話し、仲良くなれたことが大きな決め手になりました」
面接で「通信制」の経歴はどう聞かれるか
就職活動の過程において、通信制高校を卒業したという経歴については、面接などで実際にたびたび質問を受けたと言います。
「通信制高校に行った理由は結構聞かれますね。ただ、それが不利に働くということはありませんでした。自分にとっては、そこでプログラミングに挑戦できたり、友人を作れたりした経験が今の自分に繋がっていると感じています」
クラーク記念国際高等学校が向いている人・向いていない人
向いている人
特定の専門分野(プログラミング等)に興味がある人: 専門の先生に加えてメンターのサポートがつくなど、環境を使い倒せる人には最適です。
自分で学習をコントロールしたい人: 学校の授業に縛られず、自分のペースで受験勉強を進めたい人には大きな武器になります。
心に余裕を持って卒業したい人: 精神的なサポートが必要な場合、経験豊富な先生が多い環境は救いになります。
向いていない人
完全な受動態でいたい人: 学校からの連絡が遅かったり、授業内容が基礎レベルだったりするため、自分から動けないと時間を浪費してしまいます。
「強制力」がないと動けない人: 特にオンラインコースはレポート提出も自分次第です。モチベーションを維持する工夫ができないと、卒業自体が危うくなる可能性があります。
結論:通信制高校を選んでよかったか?
彼は現在、立命館大学で学びながら、すでにAI事業を扱うベンチャー企業の内定を掴んでいます。新規事業の立ち上げに携わるという、非常に挑戦的なキャリアを歩み始めています。
「自分にとっては、通信制高校を選んで本当によかったと思っています。気の合う友達ができ、プログラミングができる環境で、大学進学に必要な単位も取れたので。通信制高校を卒業したという経歴は就職活動で結構聞かれますが、不利になるわけではないです。」
最後に、同じ進路を目指す後輩たちへ、彼はこうメッセージを残してくれました。
「挑戦してみて、ダメだったら逃げてもいい。無理だと感じたら、他の選択肢へ行ってもいい。通信制高校は、そのための大切な選択肢の一つです」
FAQ(よくある質問)
クラーク記念国際高校のプログラミング授業のレベルは?
プログラミングの授業はレベル別に行われており、初心者でも安心して受けられます。先生が丁寧に優しく指導してくれるため、挫折しにくい環境です。ただし、コロナ禍などの影響でオンライン化すると、モチベーションの維持が難しくなり、進捗が滞るケースもありました。
通信制高校から難関大学(早慶、立命館など)には受かりますか?
合格は十分可能ですが、学校の授業だけでは不可能です。クラークの授業は基礎レベル(数学ならⅠAまで等)に留まることが多いため、予備校や独学、参考書ルートを活用した自学自習が必須となります。
学校の先生のサポート体制はどうですか?
精神的に不安定な生徒や、不登校経験のある生徒への対応は非常に丁寧で、経験豊富な先生が多いです。一方で、生徒同士のトラブル(いじめ等)に対する指導力や、事務的な連絡の速さについては、キャンパスや時期によって課題があるという声もあります。
通信制高校での人間関係はどう築けばいいですか?
通学コースであれば、共通の趣味(プログラミングやアルバイトなど)を通じて友人ができやすい環境です。ただし、グループに馴染めないと孤独を感じやすく、そのタイミングでオンラインコースへ切り替える生徒も少なくありません。
オンラインコースに変えて大変だったことは?
情報の少なさです。単位取得に関する連絡が遅かったり、電話をしてもすぐに回答が得られなかったりすることがあります。オンラインコースでは、より一層「自己管理能力」と「自分から学校へ問い合わせる積極性」が求められます。
大学進学後の学力や出席に問題は出ませんか?
彼は自らスケジュールを管理する「独学」の習慣を高校時代に身につけていたため、大学でも主体的に学んでいます。保護者の方が心配される「通い続けられるか」という点も、自分に合ったコミュニティや目標を見つけることでクリアしています。
通信制高校の卒業資格は就職に不利になりますか?
彼の場合、就職活動で通信制高校出身であることを聞かれることはありましたが、不利になることはありませんでした。むしろ、なぜその道を選び、そこで何を得たのか(彼の場合はプログラミングや自己管理能力)を論理的に説明できれば、評価の対象になります。

