人目に敏感だった中学時代
彼女は小学生の頃から民間の陸上クラブに通っていました。そこでいい成績を残しており、中学校に入学してからも陸上部に所属しました。
しかし今まで民間のクラブで陸上を行っていたため、中学校には目的を見出すことができませんでした。
さらに思春期特有の体調変化や、女性としての身体の変化が重なりました。練習を休むと体型が変わってしまうのではないか、太ったと言われるのではないか。そんな不安が次第に大きくなり、人前に出ること自体が怖くなってしまいます。
体重や見た目を過度に気にしてしまうことで、中学1年生の後半から学校に行くことが難しくなり、家で過ごす日が増えていきました。
通信制高校への進学を決めた理由
中学校を卒業する頃、進学先をどうするかは大きな悩みでした。本人は「できれば通学したい」という思いを持っていたものの、実際に体調を考えると難しい状況。通学型の高校を見学しようにも足が重く、なかなか決断ができませんでした。
保護者の方も「学校に行けなくても高校卒業資格は取れる道を」と考え、通信制高校を中心に5校ほど見学しました。その中で出会ったのが、ネットコースを中心に学べる「N高等学校」でした。
N高を選んだ理由は、何よりもその柔軟性です。完全オンラインでの学びから、通学型など、自分の状態に合わせてコースを変更できること。また、学習内容も自分のペースで進められる点が魅力でした。
「途中で通うコースに変えられるという柔軟さが、娘にとっても安心材料でした。スクーリングも必要最低限で済むし、オンラインで完結できることが多かったのもありがたかったです」とお母さまは話します。
初めてのオンライン学習と戸惑い
入学前は、 「毎日どのくらい勉強すればいいのか」「レポートはどれくらいの難しさなのか」といった勉強のペースがわからないことをお母さまは不安に感じていました。また本人も、スクーリングに参加することや、新しい友達を作ることに対しても大きなプレッシャーを感じていたそうです。
しかし実際に始まってみると、N高のスクーリングは「友達を作らないといけない」という空気がなく、安心して参加することができました。
「人間関係に気を使わなくていいのが助かったと思います」とお母さま。ただ、それでもスクーリングは時間に厳しいため遅れてはいけないというプレッシャーは大きくありました。
家では、一日のスケジュールを自分で立て、まとまった時間を使って動画授業を視聴し、レポートに取り組むという流れを作っていました。月に1回のメンター(担任の先生)面談で進捗を確認し、「今月はここまで頑張ろう」という目標を設定してもらうことで、徐々に自分のペースを掴めるようになりました。
2年生、3年生になる頃には、要領よく動画を流して課題を進められるようになり、N高での学習が生活の一部になっていきました。
メンターとの信頼関係と支え
学習を続ける中で、娘さんを支えたのはN高のメンターの存在でした。
「N高の先生は“先生っぽくない”のがすごく良かったです。まるで友達のようにフランクに話してくれて、相談しやすかったと本人も言っていました」とお母さま。
一度体調を崩してスクーリングを欠席した際にも、メンターが振替日程を調整してくれるなど、柔軟に対応してもらえたそうです。
自分の時間を使いながら見つけた「好きなこと」
N高での3年間、娘さんは自分のペースで過ごしながら、少しずつ「好きなこと」に向き合う時間を増やしていきました。
中学生の頃は「人前に出ること」が怖かった彼女ですが、デザインやファッションの世界に興味を持つようになり、家でデザインや、洋裁に没頭する時間が増えたといいます。効率よく単位取得を行いながらアルバイトをしたり、一人で悩みながらも少しずつ前へ進んでいました。
「一人っきりで悩む時間があったのは必要な事です」とお母さま。
大学進学に関しても、ファッションに興味があったため服飾系を志しました。専門学校か大学、どちらに進学するか悩みましたが、デザインだけでなく流通やマーケティングなど服飾に対する体系的な理解を得るために大学進学を決めました。
大学受験の際には作品を作ってプレゼンテーションを行い、ポートフォリオを提出します。その際、志望理由書の添削やプレゼン練習などはN高のメンターが丁寧にサポートしてくれました。結果、指定校推薦で文化学園大学への入学を決めます。
保護者が感じた「学校に行かなくてもいい」という気づき
お母さまが印象的に語ったのは、「学校に行かなくてもいい」という考えにたどり着くまでの葛藤でした。
「最初は“学校に行かせなきゃ”という気持ちが強かったんです。本人も行かなきゃと思っていました。でも、N高に入ってから“行かなくてもいいんだ”と気づけて、それがすごく開放感。なんで今まで学校に行かないといけないとプレッシャーをかけていたのかなと思いました。家で勉強するのも一つの選択肢。学校に行かないことはマイナスじゃありません。」
通信制高校という選択肢に不安を感じていたものの、実際に通わせてみると、その自由度とサポート体制の手厚さに驚かされたといいます。
「行事に参加しなくてもいい、宿泊スクーリングもコロナ禍でなかった。それが逆に助かりました。本人に無理をさせず、自分のペースを守れる環境だったことがありがたかったです。」
そして最後に、お母さまはこう語ります。
「通信制高校ってすごくいい制度でうらやましい。いくいかない悩んでいるのは本人が自分の向き合っている証拠です。普通の学校じゃ得られない体験が用意されていました。」
まとめ
中学時代に「人前に出るのが怖い」と感じ、学校に行けなくなった彼女。
しかし、N高での3年間で、自分のペースを取り戻し、デザインという新たな夢を見つけました。
通信制高校での学びは、ただ高校卒業資格を得るための場ではなく、「自分と向き合う時間」と「次のステップを考えるきっかけ」になっていたのです。
「学校に行かなくてもいい」——その気づきが、娘さんとご家族にとって、なによりの希望となりました。

