通信制高校オンラインコースのメリット・デメリットとは?
オンラインコース(ネットコース)の最大の特徴は、文字通り「インターネットを通じて学習が完結する」点にあります。しかし、その自由度の高さゆえに、全日制高校とは全く異なるメリットとデメリットが存在します。
メリット:圧倒的な自由度と精神的なゆとり
口コミで最も多く挙げられているのが、「自分の時間を100%自分のために使える」という点です。
「全日制のような決められた時間割に縛られず、体調や集中力に合わせて学習を進められたため、精神的な負担が大幅に減りました。余った時間をアルバイトや趣味に充てることができ、社会経験を積みながら高校卒業資格を得られたことに非常に満足しています。」(N高・卒業生)
このように、スポーツや芸能、プログラミング、創作活動など、学業以外の「本業」や「やりたいこと」がある生徒にとって、オンラインコースは最強の味方となります。また、映像授業ならではの利点も目立ちます。
「授業は倍速視聴も可能で、効率よく学習を進めることができました。理解が不十分なまま進むことがなく、納得感を持ってレポートに取り組めました。」(N高・卒業生)
不登校を経験した生徒や、集団生活にストレスを感じる生徒にとっても、「朝起きなければならない」「教室にいなければならない」というプレッシャーから解放されることは、心の安定を取り戻す大きなきっかけとなっています。 「全日制の頃に感じていた『朝起きなければならない』『教室にいなければならない』というプレッシャーから解放され、心身ともに余裕を持って大学受験の勉強に専念できたことが、志望校合格に繋がったと感じています。」(N高・卒業生)
「中学時代は集団生活に馴染めず苦労しましたが、オンライン中心の生活に切り替えたことで、対人関係のストレスから完全に解放されました。」(N高・卒業生)
デメリット:自己管理能力という名の「高い壁」
一方で、自由であることは「すべてを自分で決めなければならない」という厳しさの裏返しです。
「自己管理能力が極めて重要です。担任の先生から定期的に連絡は来ますが、レポートや視聴票を溜め込んでしまうと後で自分の首を絞めることになります。『誰かに強制されないと動けない』というタイプの人には、卒業までのハードルが高く感じるかもしれません。」(N高・卒業生)
多くの学校で、先生とのやり取りはSlackやLINE、チャットツールがメインです。対面での「手取り足取り」の指導は期待しにくく、「自分から動かない限り、存在が埋もれてしまう」というドライな環境に孤独を感じるケースも少なくありません。
「担任の教師とLINEを交換するのが決まりだが、自分からアクションを起こさないと本当に赤の他人状態になる。」(ルネサンス高等学校・卒業生)
また、意外な盲点となるのが「スクーリング(面接指導)」です。
「オンラインでほぼ完結するとはいえ、年に数日のスクーリングで本校に行かなければなりません。遠方の場合、旅費がかかるだけでなく、人見知りの子にとっては移動や宿泊自体が大きなハードルになります。」(S高・在校生保護者)
オンラインコース生の「リアルな日常生活」と実態
「学校に行かない」オンラインコースの生徒たちは、毎日をどのように過ごしているのでしょうか。口コミから見える、標準的な1日のスケジュールと学習スタイルを紐解きます。
1日のスケジュール例
多くの生徒は、朝の決まった時間に起きる必要がありません。
午前中: 趣味、スポーツの練習、あるいはアルバイトなど。
午後: スマホやPCで映像授業を視聴。1単元は数分〜数十分で、合間にレポート(確認テスト)を解く。
夕方以降: Slackなどのチャットツールで共通の趣味を持つ友人と交流したり、専門分野(プログラミングや動画編集など)の学習に充てたりする。 「通学日数がとても少なく年に10日ほどで、レポートも好きな場所・好きな時間に行える点が良かった。時間を自由に使えて、やりたいことがある生徒にはとても向いていると思う。」(ルネサンス大阪高等学校・卒業生) 「レポートの提出期限さえしっかり守れば、自分の好きなプログラミングや創作活動に多くの時間を割ける点が非常に魅力的です。」(N高・在校生保護者) 「ゲームの練習や配信準備と両立しながら単位を取れたのは通信制ならではだと思います。人間関係のストレスも少なく、自分のやりたいことに集中しながら高校卒業を目指せた点は大きなメリットでした。」(N高・卒業生) 「時間に融通がきき、学業以外で目指してることへの時間やバイトなど社会に出るための自分なりの勉強の時間がしっかり作れる。」(S高等学校・在校生保護者)
「N予備校」や「スタディサプリ」を活用した学習
N高やS高に代表されるように、独自の学習アプリ(N予備校など)を導入している学校では、動画のクオリティが非常に高く、アニメーションを多用した飽きさせない工夫がなされています。
「映像授業はドワンゴが関わっているだけあってクオリティが高く、特に大学受験対策の講義は予備校レベルで非常に分かりやすかったです。」(N高・卒業生)
また、ルネサンス高校のように、スマホ一つでレポートが完結する学校もあり、「電車での移動中に動画を見てレポートを出すだけ」という効率的な学習スタイルも定着しています。
「私はプロを目指してスポーツ活動に打ち込んでいるため、遠征や練習で日中の時間が全て埋まってしまいますが、この学校はスマホ一つでレポートが終わるため、移動中や宿泊先でも勉強を進められます。」(ルネサンス高等学校・在校生)
オンライン上のコミュニティ活動
「友達ができない」と思われがちなオンラインコースですが、最近ではバーチャル空間やチャットツールをフル活用した交流が盛んです。
「Slackを活用したコミュニティがあり、共通の趣味(ゲームやイラストなど)を持つ友達とオンラインで繋がれたのが楽しかったです。VRを使った授業など最新のICT環境は、新たな興味を引き出すきっかけになりました。」(N高・卒業生)
「バーチャル空間でクラスの仲間とつながることができるので、オンライン学習でも疎外感がない。中学の頃よりも先生との距離が近く感じるし、何でも相談できる環境になっている。」(ヒューマンキャンパス高校・在校生保護者)
ただし、これらも「自分から積極的に参加しに行く」姿勢がなければ、3年間誰とも喋らずに終わってしまうという極端な二極化が起きています。
【必見】オンラインコース選びで「よくある失敗とミスマッチ」
「有名だから」「楽そうだから」という理由だけで選ぶと、入学後に後悔することになりかねません。口コミから判明した、よくあるミスマッチの事例を挙げます。
1. 「学校に任せておけば安心」という誤解
通信制高校、特にオンラインコースは「自学自習」が基本です。
「保護者側も定期的な声かけや確認が必要でした。学校に任せておけば安心、というタイプの学校ではありません。」(N高・卒業生保護者) 「オンライン中心のため、積極的に関わらないと先生や他の生徒との接点が少なく、孤独を感じる人もいると思います。また、進路サポートは用意されていますが、手取り足取りというより『自分から動く前提』なので、もう少し個別に踏み込んだ声かけがあれば助かると感じる場面もありました。」(N高・卒業生)
先生からの手厚いメンタルケアや、密な進路指導を期待しすぎると、「冷たい」「ドライすぎる」と感じてしまう傾向があります。
2. パンフレットの「進学実績」を過信する
学習内容が基礎レベルに設定されている学校も多く、大学進学を目指す場合は注意が必要です。
「在籍していたコースは全日制高校と比べても学習内容が簡単過ぎると感じました。高校卒業資格が欲しいという点では優れていますが、学習に力を入れたい方には向いていないかもしれません。」(一ツ葉高校・卒業生)
「大学受験を一般入試で本気で目指す場合は、学校の授業だけでは全く足りないので、自分で予備校に通うなどの対策が必須になると思います。」(ルネサンス高等学校・在校生)
大学受験を目指すなら、N高のように受験対策講座を持っている学校を選ぶか、あるいは自分で塾や予備校を併用する前提で考える必要があります。
3. スクーリングの負担を見誤る
「ほぼ自宅で完結」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。
「ネットコースの生徒が通えるスクーリング校舎は全国でも数が少なく、そこまで電車を乗り継いで行くことが辛い。心のエネルギーが満ちている生徒でないと活用しきれないかもしれません。」(S高・在校生保護者) 「定期試験や、単位を取るために1週間、本校がある熊本県の天草で集中スクーリングに行かなければいけません。娘は熊本住みなので、そこまで大変ではありませんでしたが、他県の方は大変だと思います。あと、教室が苦手な娘は、廊下で授業を受けたので、どうにかならなかったかと思います。」(勇志国際高等学校・卒業生保護者)
特に心身の不調を抱えている場合、数日間の「宿泊を伴うスクーリング」や「慣れない場所への移動」が大きなストレスとなり、単位取得の最大の壁になることがあります。
後悔しないための「通信制高校適性チェックリスト」
入学後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、以下のチェックリストで自分(もしくはお子さん)の適性を確認してみましょう。
[ ] 1. レポートの期限を自分でカレンダーに書き込み、管理できる
[ ] 2. 先生や他人に強制されなくても、PCやスマホを開いて学習を始められる
[ ] 3. 分からないことがあった際、自分で調べたりチャットで質問したりできる
[ ] 4. 「学校行事」や「クラスの一体感」がなくても孤独を感じにくい
[ ] 5. 高校卒業後にやりたいこと(趣味、仕事、進学など)が明確にある
[ ] 6. ネットツール(Slack、Zoom、メール等)での連絡に抵抗がない
[ ] 7. 年数回のスクーリング(対面授業)に参加する気力・体力がある
[ ] 8. 保護者が学習進捗を定期的にチェックする体制が整っている

